IBMアウトソーシング戦略

日本IBM花王経理業務を受託、5年で18億円のコスト削減を目指す
日本IBMは2010年2月17日、花王経理業務の一部を受託すると発表した。2014年までの5年間で18億円のコスト削減効果を目指す。契約金額は非公表だが、コスト削減効果が受注額の1〜2割と推測すると、5年間で90億〜180億円程度になる。
 IBMは、花王グループ社員の旅費精算のデータ照合や、銀行へのデータ送信といった経理業務の一部を請け負う。今年3月から、売掛金の照合など一部の業務について受託を始め、6月までに業務移管を完了する。受託する仕事量は、約200人分に相当する。
 花王は、IBMへの業務委託に先駆け、国内55カ所で個別に実施していた支払い業務などを、「すみだ事業場」に集約。業務プロセスを標準化する。業務委託によって、花王経理業務の品質向上と効率化、グローバル対応、コスト削減を実現する。
 IBMは、ITを活用して顧客の業務を効率化する「BTO(ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング)」サービスを、花王に提供する。サービス提供にあたっては、中国・大連の「グローバル・デリバリー・センター」の要員を活用する。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100217/344700/

業務のアウトソーシング(BTO)は圧倒的にIBMが先行しています。
ここ最近記事になったものだけでも

ソニー

  • 社内の人事・経理業務の一部
  • 委託範囲は、国内におけるソニー本体および一部子会社の給与計算、派遣要員の管理、社員サポート、出張費精算、売掛金や買掛金の管理など
  • IBMソニー、人材派遣大手のマンパワー・ジャパンで新会社「ヒューマンキャピタルアソシエイツ」を設立する。資本金は1億円で、出資比率は日本IBMが60%、ソニーが20%、マンパワー・ジャパンが20%。-中国・大連のグローバル・デリバリーセンターの要員を活用


TOTO

  • 情報システムの開発および運用保守
  • 契約期間は2009年10月から2015年3月までの5年6カ月
  • アプリケーションの開発・保守、メインフレームやオープン系サーバーの運用保守、ネットワーク運用などを請け負う
  • システム企画については、引き続きTOTOのシステム部門が担当
  • IBM大阪府に構える自社施設「大阪南港データセンター」を使って、アウトソーシングサービスを提供する。サーバー資源を有効活用する「シェアード・ホスティング・サービス」を適用するほか、「CMMI」や「ITIL」といった、開発・運用にかかわるグローバル標準に準拠したプロセスやソリューションを適用し、サービスの効率化を目指す。


ヤマト運輸

  • 経理業務の一部
  • 全国に69カ所ある事務管理センターで実施している「出納管理」「未収管理」などを日本IBMに任せることで、間接業務の効率化を目指す。
  • 中国・大連にある「IBMグローバル・デリバリー・センター」で受託業務を遂行する。当初は100人規模の体制で始め、処理量の増加や受託範囲の拡大に合わせて増員していく。業務受託に伴い、日本IBMは処理・検証・承認など一連の経理業務を標準化するワークフローシステムを構築する。


住友金属工業

  • 契約を更改したと発表した。新契約は同年10月から2020年3月までの10年6カ月。推定で600億円弱とみられる。
  • 既存の契約は2000年4月から2010年3月までの10年間だったが、契約終了前にこれを更改した。日本IBMは引き続き、業務アプリケーションの開発・保守とシステム全体の運用・保守を請け負う。委託期間が10年間のアウトソーシング契約を更改する際は新期間を5年前後とすることが多く、再び10年前後の契約を結ぶのは珍しい。


日本郵船

  • 基幹系システムなどの運用
  • 受託範囲は、日本郵船が国内で利用するすべてのシステムのインフラ運用・保守。アプリケーションの開発・保守は対象外である。
  • 契約期間は09年1月から14年3月までの5年3カ月
  • ITコストを年額で5〜7%の削減を見込む。コスト削減のために、日本IBMは世界標準の「IBMグローバル標準デリバリーモデル」に基づき運用業務を効率化する。サーバー資源を有効活用する「シェアード・ホスティング・サービス」の適用も進める。


中国銀行

  • 日本IBM日立製作所の2社へのITアウトソーシングに踏み切ると発表した。日本IBMにはシステム運用保守を、日立にはデータセンターの維持・管理を、それぞれ委託する。2社との契約金額は概算で総額215億円に達する。中国銀は業務効率化と災害対策の強化を目指す。
  • 日本IBMとの契約は、この11月から2018年10月までの9年間で、契約金額は約120億円である。日立との契約は2010年10月からの19年間で、契約金額は年間5億円(総額95億円)である。日立への委託に先駆け、中国銀は自前のデータセンターから専門業者のデータセンターにシステム機器を移す。新しいデータセンターの維持管理を日立が担い、そこで日本IBMの技術者が中国銀のシステムの運用・保守にあたる。データセンターの所有者については公表していない。
  • 中国銀は、千葉銀行第四銀行北國銀行伊予銀行とともにシステム共同化陣営「TSUBASA(翼)プロジェクト」を構成している。この陣営の地銀はいずれも勘定系システムを日本IBMメインフレームで動作させている。中国銀が日本IBMへの運用アウトソーシングに踏み切ったことで、伊予銀以外の4行がIBM化

という具合に、日本IBM大企業大型長期契約とストックビジネスを着実に伸ばしています。
企業経営者にとってIT部門がコストセンターに映るのです。世界的なIT企業IBMに任せることで技術やコスト、効率化への担保として、ステークホルダーに説明もできると思っているのだろう。だからIBMは経営者へのアプローチを怠らないし、実際経営者以外少なくとも情報部門の責任者以下の人間に興味は無い。CMも経営者へのメッセージ性を大切にし、キーワードを重視する。最近は「Smart」
しかし、実際コスト低減になっている事例は少ないと思います。例えば、現在自社のシステム部門でかかっている経費を10%割り引いた金額で契約します。往々にして情報部門の人およびシステム子会社をIBM傘下にするか別会社にさせて人件費の低減を図ります。これが一番のコストカットになっています。もちろん大連や他社サービスをしている人材の共用でのコストカットもありますが、サービスレベルは低下しています。
ですが、経営者からすればこんな効率化経費削減でもいいんです。この部分に巧みに取り入るIBMがうまいのです。
それに比べ国内ベンダー日立、NEC、富士通は最近存在感がますます低下している気がしてなりません。