世界三大宗教 キリスト教編
「世界三大宗教」重要ポイント83 三笠書房
を読んで興味深い部分を列挙する
■キリスト教
p44
キリスト教の説く「神を愛し、隣人を愛せよ」の本当の意味は「すべての人間を愛しなさい」ではなく、「隣にいる自分と同じ教えを信仰しているキリスト教徒を愛しなさい」と限定している。
神への信仰を契約化したキリスト教の本質は基本的に、(キリスト教の)神の命に従い一心に信仰する者だけを救い、それ以外は救わない。
p93<キリスト教の柱となる教え>
人類の祖先である アダムがエデンの園を与えられた時点では、死というものは存在していなかった。今日でこそ、「人間は死が訪れた後に天国という場所に向かう」というイメージが一般に定着しているが、旧約聖書によると、人間はもともと楽園を神から与えられ、命の終わりがない生活をしていたというのだ。キリスト教とイスラム教が説く唯一絶対神の愛や慈悲が、仏教のそれと大きく違う原因はここにある。つまり、唯一絶対神の愛や慈悲は、人間が困難から救いを求めるから与えるというものではなく、人間が創造された当初から既に与えられていたというわけである。
神は、エヴァを創造するにあたって、アダムの時のように土からつくらず、アダムの体の一部(肋骨)を使った。つまりエヴァはアダムから誕生したわけである。この男性から女性が生まれたという考え方は、キリスト教とイスラム教の大きな特徴となっているが、たとえば、預言者はすべて男性であり、イスラム教の教えを説くウラマー(イスラム教の神学者)やキリスト教の司祭も男性に限られている。また、イスラム教もキリスト教も女性より男性を尊重する傾向が強いのは「アダムからエヴァが生まれた」とう教えが影響していると指摘する人もいる。
アダムとエヴァが神の命令に背いて善悪を知る木の実を食べて、人類最初の罪を犯したことを、「原罪」という。エヴァは蛇にそそのかされ最初に実を食べたので、神から罰として出産を科せられた。そしてアダムとエヴァに死が与えられ、楽園を追放された。アダムとエヴァの子孫であるすべての人類は「生まれながらにして罪を背負い、その罪から逃れられない」という独特の宗教観を作り上げた。神との関係を再び結ぶためには、神から預言者を通して示された教えを疑うことなく、正しく実践することで、人間は再び楽園で永遠に生きることが許されると教えている。
マリアが処女のまま聖霊によって身ごもったとされていることには大きな意味がある。イエスの真の父は「神」であり、イエスは、アダムとエヴァに始まる罪を負っていない特別な存在(神の子)だったということになるのだ。
神の子であるイエス・キリストが人間として生まれ、彼が十字架を背負って死んだことで、すべての人間の原罪は赦されたのである。
P190旧約聖書のメジャーな物語 「天地創造」
1日目→神が光と闇を作り出し、光を「昼」、闇を「夜」と呼び世界で初めて「一日」という時が過ぎた
2日目→「水」をつくり、その水から「大空」を想像して、「天」と呼んだ
3日目→天の下の水から「陸(地上)」をつくり出し、草や果樹を茂らせた
4日目→光のもととなる「太陽」と「月」、「星々」を想像
5日目→水の中に生き物を、大空に翼のある鳥をつくる
6日目→地の生きる家畜と這うもの(蛇など)と野獣を創造
人間(アダムとエヴァ)も アダムとエヴァが楽園を追放(原罪)
・蛇にそそのかされ知恵の実を食べた
・エヴァには子どもを産む苦しみと人間に死が与えられる
アダムとエヴァの子
兄カイン(土を耕すもの)
弟アベル(羊飼うもの)
神にカインが農作物、アベルが羊を捧げると、神はアベルの羊だけに目をとめる。カインが怒り、後にアベルを殺す。やがて神がカインにアベルの所在を尋ねるとカインは知らないと嘘をつく。神が激昂し、カインはエデンの東に追放される。
「バベルの塔」
天まで届く塔をつくろうとした人間の高慢さを感じた神が、人間の言語を複雑に変え、お互いが何を言っているかわからないようにして、人間を世界中に離散させた
P230聖人の名前を名づけるのがポピュラー
カトリックや東方教会においては、イエスの十二使徒をはじめ人並み以上に信仰に優れた信徒や殉教者、教皇によって列聖(聖人の位に列すること)された人を「聖人」として崇める。これはプロテスタントにはないものだが、唯一例外なのが氏名。世界中のキリスト教徒は、子供が生まれると、旧約聖書と新約聖書の中に登場する預言者や聖人の名前をとって、わが子に名づけているという。
アイザック…旧約聖書三大族長の一人のイサクから。<アイザック・ニュートン>
ジョン(john)…新約聖書十二使徒ヨハネ、これをスコットランドのケルト語で発音するとショーンとなる。<ショーン・コネリー>
デイヴィット(David)…旧約聖書イスラエル王ダビデから
英米マーク、独マルクス(Maic,Marcus)…新約聖書「マルコによる福音書」の著者マルコ
ルーカス(Lucas)…「ルカによる福音書」の著者ルカ
ポール(Paul)…パウロから
伊ピエトロ、独ペトロ、露ピョートル、英ピーター…ペテロ(Petros)
英米マイケル、ミッシェル、独ミハエル…大天使ミカエル
P259米国裁判とキリスト教の罪への考え方
「人間を裁けるのは神だけであり、真の裁きは神に任せておけばよい」とし、裁判は人間を裁くのではなく、社会の秩序を保つものと考えている。「わたしたちが犯罪者を放置しても、その人間がほんとうに悪人ならば神が罰し、その罰から人間は決して逃れることはできない。すべての人間は最後の審判が訪れたときに真の裁きを受けるのだから」