のれん代

企業が持つ営業権。
「ブランド」「ノウハウ」「顧客との関係」「従業員の能力」等、無形固定資産のこと。
これらの財産は、長い企業活動の中でつくられたものであり、企業合併や買収においてもその価値が営業権として決算書に計上される。
企業買収に要した金額が被買収企業の純資産価値を上回る場合、その差額を指す。
企業会計原則では、のれん代は、一定期間で償却するように求めている。
背景としては、近年M&Aが頻繁に行われることから多額ののれん代が財務諸表に現れるようになり、その価値を適正に評価することが求められるようになった。
旧商法では5年以内で償却、連結財務諸表原則では20年以内で償却するよう定められているなどルールも統一されていなかったため、価値が著しく下がった場合、のれん代を減損し、一括して費用計上している企業も存在した。
しかし、企業会計基準委員会は、2006年4月からの新ルールで一括計上を認めないことにした。
20年以内の複数年数で均等処理することになる。合併時の会計処理でも発生する。

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レイナ:「タツヤ先輩、最近のIT企業の企業買収は目を見張るものがありますね。楽天なんかも企業買収で業績を急拡大させて利益がうなぎのぼりなんですけど、なんで最終的には赤字になっているんでしょうか?」


タツヤ:「うん、それは『のれん代』の影響が大きいんだ。」


レイナ:「のれん代?なんだかラーメン屋とか居酒屋みたいなこと言ってますけど、どうして『のれん代』が急成長しているIT企業の決算と関係があるんですか?」


タツヤ:「その答えを教える前にレイナちゃんはどのようにして企業の買収価格が決定されるか知っているかな?そこに重要なヒントが隠されているんだよ。」


レイナ:「えっ、企業の買収価格ですか?それはやっぱりその企業の持っている現預金や株券、不動産など全ての資産を基にして価格を決定するんじゃないんですか。資産の価値=価格だと思いますよ。」


タツヤ:「レイナちゃんが言うのはバランスシート上にある資産を基にして価格を決定するってことだね。残念ながらそうではないないんだ。確かに企業の現在持っている資産はベースにはなるけど通常それらに『営業権』を付け加えて評価することになるんだ。その営業権が『のれん代』って呼ばれているんだよ。」


レイナ:「へぇ〜、そうなんだ。つまり、営業権っていうのは目に見えない無形の資産ですよね。だからバランスシート上には表れていないけど、有形の資産とこの無形の資産が企業の総合的な価格になるっていうことですね。でも営業権って一言で言いますけど、具体的にはどんなものなんですか?」


タツヤ:「うん。たとえばレイナちゃんがよく知っている『企業のブランド』、企業が所有する『卓越した技術』、『優秀な従業員』、『優良な取引先』などが営業権に含まれるんだよ。」


レイナ:「そうか。確かにタツヤ先輩が今言ったような『ブランド』や『技術』、『従業員』、『顧客』などは企業のバランスシート上には現れないものね。でもその価値をお金に換えれば無形の資産として莫大なものになるってことね。」


タツヤ:「そう。だから買収先企業の価値っていうのは『企業が持つ純資産+営業権』で表されるんだ。たとえば今、XYZ物産という企業があったしよう。買収には200億円が必要で、会社の純資産は100億しかない。この時のれん代
いくらになる?」


レイナ:「そうね。買収には200億円必要だけど、純資産は100億でしょう?ということは100億円分は企業の営業権として評価しているわけで、のれん代は100億円になるわね。」


タツヤ:「そうだね。この場合買収元の企業のバランスシートに載せる価格は買収先企業の持つ純資産100億円だから、プレミアム部分の100億円分の営業権は実際には目に見えないものを購入したとして特別損失として計上しなきゃいけないんだよ。(注1:会計の処理法により相違あり)」


レイナ:「実際に損はしていないけど会計上名目的に損失を計上するってことですね。」


タツヤ:「そう。だから活発にM&Aを行っている企業は実際には業績が非常に良くても最終的には赤字になるからくりがあるんだよ。」


レイナ:「ふーん。ということは『のれん代』による赤字は形式的なもので実際に資金の移動を伴うものじゃないんですね。これでようやく飛ぶ鳥を落とす勢いの企業がなぜ最終赤字に陥っているのか謎が解けましたよ。」

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