ケーキバイキングで受験生確保---夏のオープンキャンパスが勝負を決める

最近電車には「オープンキャンパス案内」の中吊り広告が氾濫しています。
車両によっては8割方大学関係の広告が占めている場合もあります。
夏休みのオープンキャンパスは大学にとって受験生確保の正念場でもあります。
昔は大学受験勉強の天王山とか言って予備校の勧誘が盛んでしたが、今や大学側が熱心に受験生勧誘を行う時代なのです。

asahi.com(朝日新聞社):夏休み 来て見てキャンパス 受験生確保 あの手この手 - 教育
さあ、夏休み。この時期、全国の大学では、進学先を考える高校生と保護者向けのオープンキャンパスや、子ども向けのイベントが目白押しだ。ほとんどが無料で、普段は味わえない体験ができることも。これを機会に、いつもは敷居の高い大学の門をくぐってみては――。

■高校側「3校行け」

 11日、東京都板橋区大東文化大学であったオープンキャンパス。現役の女子学生が制服やカジュアルな服装の高校生を連れて、学内の施設を紹介するキャンパスツアーをしていた。

 学生が説明する。「ここはキャリアセンターです。就職のことをいろいろ相談します」。その後、「……厳しいんですよ、就職」と本音をぽろり。高校生たちの表情が緩んだ。

 友人と来た私立高校3年の林賢史さん(17)は「図書館に蔵書が多い。学びたいことがやれそう」と話した。高校の教師には「面接試験だと思って、服装、頭髪、態度に気をつけて」と言われたという。

 オープンキャンパスは高校生が夏休みになる7、8月に開く大学が多い。在学生のキャンパスツアーや現役教員による模擬授業のほか、入試説明会や個別相談会など受験、進学に直結した取り組みも増えている。

 最近は高校側が積極的に参加させている。大東文化大を見て回っていた2人の女子生徒は、神奈川県の私立高校に通う1年生。「いろんな大学をみて志望校を決めるよう、夏休み中に3校は行けと先生に言われた」

 オープンキャンパスに限らず、学級や学年単位で生徒を引き連れ、平日に1日がかりで大学見学に行く高校も珍しくはない。都内の成蹊大学には昨年、首都圏のほか愛知県や群馬県など約80校が大学見学に訪れたという。「高校にとっては、早めに将来のキャリアについて生徒に考えさせたいのでしょう」と大学関係者。進学指導に力を入れているとアピールしやすい面もあるようだ。

■ライバルと協力

 一方の大学は、来場者数を受験生確保につなげようと、工夫を凝らす。オープンキャンパスを夏休み前の5、6月、さらには新年度が始まる前の3月に開く。さまざまな無料サービスも用意しており、学食ランチや大学グッズのお土産は定番だ。

 保健医療経営大学(福岡県みやま市)は今年、ケーキバイキングと抽選による携帯音楽プレーヤー「iPod」のプレゼントをする。担当者は「ケーキを食べながら在校生としゃべれば、大学に関心を持ってもらいやすい」と話す。

 ライバルの大学同士が手を結ぶケースも。北九州市の九州国際、九州栄養、西南女学院の3大学は昨年、各大学を結ぶ巡回バスを走らせて掛け持ち見学ができるようにした。同じ福岡県内の政令指定市で、福岡大学など多くの大学を抱えるライバルの福岡市に対抗するアピールだ。今年は同じ北九州市内の西日本工業大学も加わる。

 「できるだけ多くの人に参加してもらいたい」という札幌大学は、北海道内の7市から札幌市内のキャンパスまで無料送迎バスを運行している。最も遠い函館市北見市からは車で片道5時間かかる。

■「在学生に質問を」

 大学がここまで必死になるのは、少子化に加え、大学の増加で志願者の獲得競争が激しくなったことが背景にある。ある女子大の担当者は、「いまのオープンキャンパスは、高校生の大学選びの中で大きなウエートを占めている」と話す。秋には大学で推薦・AO入試が始まるため、多くの高校生は夏までに第一志望を決める。そこで、夏休みに各地でイベントが盛んになるというわけだ。

 とはいえ、オープンキャンパスは、大学側が見せたい姿。リクルート発行の大学経営者向け専門誌「カレッジマネジメント」の小林浩編集長は「オープンキャンパスは在校生と話すチャンス。一方的に話を聞くのではなく、現役の大学生に積極的に質問して、教職員の言うことと違っていないか確かめること」と助言する。


個人的にはオープンキャンパスに行って何がわかるのかと思います。
が、これまでも何度か記載してきたように大学の大衆化は、進学に対して特段目的意識の無い層が大学を目指します。
そして受験生確保が何にもまして重要な中堅以下の大学は、この層をターゲットとするわけです。
ですから、オープンキャンパスの内容がより分かり易くなるのは必然といえます。
批判が多いでしょうが、ケーキバイキングも景品付きもまず大学を知ってもらう手段なのでしょう。
結果として大学のイメージを低下させていることとなっているとは思いますが。


先日掲載したiPadでアピール(3)共愛学園前橋国際大学 - TK独り言の中で、共愛学園前橋国際大学の入試広報センター長はこうおっしゃっていました。

「大学の生き残りはイコール学生募集だと思うんです」という岩田に同大改革で行った学生募集の手法について尋ねた。
「うちを志願する高校生の多くは進路を選択する際、いろんな大学を順に検討するのでなく、何か一つの視点や体験をもとに選ぶんです。大学に請求した資料に親切なメッセージがあったとか、進学相談会で説明してくれた人が役に立つ話をしたとか。
ひとつ良い点に目が行くと他もよいと思い込んでしまうのです。そこで、オープンキャンパスや進学相談会では、『良い感じ、体験』のみを与えることを心がけ、大学の中身も“良い感じ、体験”が多いものになるよう改善してきました」
『良い感じ、体験』を一貫して与え続けるためには大学がどういう方向で学生を教育していくか、どういう大学像をめざしているか、という学内の共通理解も肝要。キャッチコピーを作るのも効果的だという。同大は「ちょっと大変だけど実力のつく大学」を作った。


夏のオープンキャンパスが定員充足を決める。
厳しい勝負です。様々な企画がありそうで、興味深いですね。
気になるものがあったら取り上げていきたいと思います。