韓国サムスンに入社するための大学、ソフトバンクに入社するための大学

韓国の大学進学率と貧困率 - TK独り言などで、これまで何度か触れてきた韓国の大学事情。

今や韓国は日本の鏡と言える。
それは反面教師としての鏡。先例としての鏡。

2010年7月20日 日本経済新聞 「春秋」
韓国では、大学進学率が8割を超える。大卒の就職率は非正規を含めても60%台。
(筆者追記:せめて語学を身につけさせ、就職を有利にするため、海外指向も強い。)
採用する企業はこの程度では満足しない会社も出てきた。
厳しい就職事情を逆手に、有能人材を早めに手当てしている。最大手サムスン電子だ。


私学の成均館大学と組み、学部には半導体、大学院に携帯電話の学科をつくった。
全国から優秀な理科系学生を集め、企業が欲する未来の研究者を育てている。
学費も生活費も会社持ち。卒業後はサムスンへの入社が待っている。
担当教授はこれを「注文型教育」と呼んでいた。


日本では長い間大学在籍期間はモラトリアムで、会社側が新卒者を一から育てることが前提だった。
しかし、今や企業側もそんな悠長なことも言ってられないし、大学側も就職率は選ばれる大学になるための大切な指標となっている。
そんな中、韓国サムスンの取り組みは今後東アジアの潮流となるとなる可能性がある。
就職するための大学。企業に入るための大学。
それだったら企業が有償で教育を行い、選抜して社員にする。
企業からすれば理想的だ。
リベラルアーツのヨーロッパと科挙制を基盤にした東アジアの違いだ。
どちらがいいというわけではない。


日本でもソフトバンクが設立しているサイバー大学が似たような取り組みを始めている。
サイバー大学について参考:ソフトバンクの株式会社設立 サイバー大学世界遺産学部 定員割れで募集停止 - TK独り言

サイバー大学、ソフトバンクグループ通信3社長期インターンシップの受け入れと入社推薦制度の運用に合意 | サイバー大学
2010年7月5日、高校卒業後未就業でサイバー大学に入学したIT総合学部の在学生を対象に、ソフトバンクグループ通信3社における長期インターンシップの受け入れ実施(名称:「シゴト体験プログラム」、運用開始:2011年4月予定)および、入社選考における推薦制度の運用について合意しました。

「シゴト体験プログラム」は、サイバー大学に在学しながらソフトバンクグループ通信3社で最先端のビジネスを体験し、社会で活躍するために必要なスキルや知識を習得する給与支給型のインターンシップ制度です。学生は、営業・事務部門、情報システム部門、ネットワーク部門の3つの中から希望するコースを選択し、ITビジネスのプロたちから学び、協働することで、社会人基礎力やITビジネスで必要とされる専門スキルの習得、社会人となるにあたって必要な自己の確立、将来ビジョンの明確化を目指します。また、授業で学んだ知識やノウハウが、ビジネスの現場で起こる課題を克服するためにどのように活用されるのかを体感することで、座学だけでは到達が難しい真の理解へと導く高い教育効果が期待できます。

同プログラム終了後、ソフトバンクグループ通信3社への就職を希望する学生には、サイバー大学内の選考を経た上で、ソフトバンクグループ通信3社の入社選考に推薦制度が適用されます。

今後企業就職予備校的な形態の大学が増える可能性が大いにある。