韓国の大学淘汰

http://www.chosunonline.com/news/20091226000004
【社説】認可取消大学の公表先送り、被害は新入生に
 教育科学技術部は、経営や教育環境に問題を抱えているとして、認可が取り消される可能性のある私立大学8校を事実上決定したが、大学名の公表は先送りしている。大学側の経営努力によっては、今後も認可が取り消されない可能性もあるというのが、その理由だ。教育科学技術部の関係者は、「2010年度の新入生選考が行われている最中に大学名が公表されれば、受験生が志願を取り消し、影響はさらに大きくなる」などと説明している。
 このように今回大学名が公表されなかったことについては、誰もが到底納得のできるものではない。教育科学技術部は今年5月に大学先進化委員会を発足させ、全国に293校ある私立大学を対象に審査を行い、最終的に認可取消候補8校を決めた。特別な事情がない限り決定が覆されることはなく、認可取消の手続きが実際に行われる可能性が高いという。ところが今回、大学名を公表しなかったことで、これらの大学には今年も新入生が入学することになる。大学の認可が取り消されると、新入生たちは当然のことながら自らの進路がなくなってしまう。その数は最低でも数千人に達するだろう。こうなると、本人たちは別の大学に編入するか、あるいは大学生であることをあきらめるしかない。8大学には便宜を図るが、数千人以上の大学生に対しては、その苦痛と不利益について見て見ぬふりをするということか。
 教育科学技術部は今年5月7日に行われた大学先進化委員会の初会合後に、「現地調査を経て、11月には認可を取り消す大学を最終的に決める」と発表した。本来11月までに作業を終えようとしたのは、12月から本格的に始まる新入生選考以前に決着をつけるためだったはずだ。ところが、大学名の公表が12月に先送りされたかと思えば、今度は来年1月以降へと再び延期された。最終的に、入試がすべて終わってから発表がなわれるということだ。教育科学技術部は大学側からの反発を受け、大学名公表の日程を延期するほど弱腰だ。このような姿勢で、実際に認可の取消に踏み切ることができるのか、疑問が残る。
 私立大学293校の中で、認可取消対象となる大学が8校しかないというのも腑(ふ)に落ちない。一昨年(2008年度)の入試では、国公立を含めて全国におよそ400校ある大学のうち、新入生が定員の30%にも満たなかった大学が27校もあった。これらの大学の教育環境も、決して見過ごすことはできないレベルにあるはずだ。03年の時点で、大学定員の数は高校卒業生の数を上回り、20年には大学の入学定員60万人に対し、高校卒業生は47万人にとどまるという。つまり、大学定員の20%は満たせないということだ。私立大学293校のわずか2.7%の認可を取り消したところで、解決するような問題でもない。経営や教育環境に問題がある大学は、より果敢に、また断固とした態度で認可を取り消すべきだ。

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韓国の大学の状況
http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/arcadia/0207.html

他方、私立大学に対してはこれまでも「助成なき管理」であったが、公的管理が一層強化されている。国公私共通の全国統一入試(「修能試験」)の実施により独自入試が禁じられていること、(編)入学定員が厳しく管理されていること、国公私一律の「大学評価認定制」によって大学の質管理が行われていること、さらに、競争的資金配分(「差等配分」)により私立大学へもプロジェクト別に研究資金が流れている。 最近の動向として、2004年の大学進学率が81.3%にも達したことは驚きであるが、大学経営が安泰かというと決してそうではない。今後の出生率低下と人口減少が予測される中、「大学構造改革特例法案」(2005年1月)が出された。これによると、国公私一律に向こう5年間で15%定員をカットするという。また、全国を8ブロックに分けて、国公立大学はこの各ブロック内で学部・学科の統廃合を進め、うまくできた大学へは資金を配分する。私立大学については「私学統合の三類型」を設けて改革を進めるという。 まとめると、韓国では90年代以降、国公立については「私学化」が進められているのに対して、私学については、以前よりも国による管理規制が強められているのである。