NewNormalとルソーの言葉、メメント・モリ

米国の経済関係者の間で、ニューノーマル(new normal)という新概念が流行している。「リーマンショックから立ち直った後の国際経済は、以前の経済とは別物になっている」という指摘を指す。このことは、アングロサクソンモデルの資本主義(後述)が終焉したことを意味するとも言われる。だがこの新しい秩序が、国際経済にとって真に目指すべき方向性であるかどうかは分からない。

 ニューノーマルという表現は実に巧みだ。この一言に「新しい秩序である」ことと、それが「常態化する」ことのふたつの意味が込められている。もしリーマンショックを発端にする景気後退から抜け出せたら、世界経済は一体どのような姿になっているのだろう。その問いに対する答えのひとつが「元通りにはならない」という見解、すなわちニューノーマル(新常態)ということになる。

 この言葉は、米国の債券運用会社ピムコ(PIMCO)の最高経営責任者であるモハメド・エラリアン(Mohamed El-Erian)氏が提唱したことから、米国の経済関係者の間に広まった。造語のきっかけは、同社が今年開催した経済予測会議である。投資戦略を策定する目的で向こう数年間の経済予測を行ったところ、このような見解を見いだしたのだという。

 今年後半は、経済界の要人からもこの言葉が聞かれるようになった。例えば日本では三菱UFJフィナンシャル・グループ畔柳信雄(くろやなぎ・のぶお)社長が、金融危機から脱した後の世界経済の展望について、インタビューで次のように発言している。「新しい秩序は危機時の『異常』と対比し、『ニューノーマル(新しい正常)』と呼ばれている。(中略)米国は金融、レバレッジ、民主導が浸透しており、ニューノーマルへの適合は急にはできない」(日本経済新聞2009年9月21日)

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JJルソー社会契約論の中で
「人民は自由だと思っているが、それは大間違いである。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのことであって、議員が選ばれるや否や、人民は彼らの奴隷となり、無に帰してしまうのである。その選挙という自由な短期間の間に、彼らが自由をどのように行使しているかをみれば、彼らが自由を失うのも当然であるといえる。」
議会政治が抱える危うさを指摘
小沢氏に集中する権力と逮捕者を出してもなお、小沢氏への批判や政治責任を問う声に乏しい民主党内。党員が口をつぐんだままでは、ルソーの懸念は現実のものとなる。

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メメント・モリMemento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句である。日本語では「死を想え」「死を忘れるな」などと訳されることが普通。芸術作品のモチーフとして広く使われ、「自分が死すべきものである」ということを人々に思い起こさせるために使われた。