中国のネット企業

日経新聞2009年1月22日
「中国ネット攻防 どうなる異質の巨大市場 下」より

中国検索市場で6割のシェアを持つ百度バイドゥ)。世界最大手のグーグルとの勝負を分けた要因の一つが音楽だった。百度はいち早く音楽検索サービスを開始。欧米の音楽業界が2005年に著作権侵害裁判を起こしたが、判決は「楽曲を提供しているのは当社ではなく第三者」とする百度の主張を認めた。
中国の調査機関によると、中国人のネット利用の目的のトップは音楽。ニュース、簡易メール(IM)が続き、メール、検索、買い物が上位の米国とは違う。グーグルが音楽各社との収入分配契約を結び、音楽サービスを始めたのは09年。人気コンテンツで完全に出遅れた。
グーグルだけでなく、通販のアマゾン・ドットコム、競売のイーベイなど、世界のネット市場をリードする米企業は中国では振るわない。企業間取引の「阿里巴巴集団(アリババ・ドットコム)」とネット競売の「陶宝網」で圧倒的なシェアを握るのはアリババ・グループ。交流サイトでも独立系の「関心網」などがと出する。
その結果、中国市場の急成長の恩恵は地元企業に集中。株式時価総額で米大手に迫る。中国のネット人口は3億人以上だが普及率は3割未満。8千人で7割普及の日本とは成長力で比較にならない。世界ネット産業の上位は米日でなく米中企業で占められつつある。
株式市場で台頭する中国ネット企業の筆頭格が騰訊(テンセント)だ。国民的通信インフラとなった簡易メールサービス「QQ」を運営。パソコンでも携帯でも無料で使え、一般的な電子メールよりはるかに普及している。中国ではネットで連絡と言えばIMが標準だ。

                                                                                      • -


騰訊(http://www.qq.com)は、中国最大手のIM(インスタントメッセージング)ベンダーです。利用ユーザー数が2億人とも言われています。騰訊は「最高のポータルサイト化」を重点目標としています。 プライベートでもビジネスでも、メールアドレスの代わりにQQの番号を伝えたり、企業のWebページや名刺の連絡先にQQの番号が表記されたりするほど普及しています。QQのIDを使ったオンラインゲーム、アバター、ブログなどさまざまなサービスを提供して人気を集めています。チャットソフトのQQは、中国においてはMSNメッセンジャーよりも圧倒的に支持を得ているインスタントメッセンジャーとなります。 中国では「騰訊」が作成したこのチャットソフト「QQ」は圧倒的なシェアを占めていて、「QQ」と名付けられたペンギンが「QQ」のマスコットキャラクターになっています。若者たちのパソコンやネットカフェのパソコンのほとんどには、このペンギンがインストールされています。
http://www.chugokuseo.com/010chugseo/08011320.html

                                                                                      • -

ゲームや着メロ配信などのサービスも次々に打ち出し高速成長を続ける。香港市場が同社につける時価総額はざっと400億ドル(約3兆7千億円)。世界のネット企業で3番目の規模になる。
「欧米はグーグルの天下。太平洋の西側は我々がトップを確保したい」百度の創業者会長、李彦宏(ロビン・リー)氏は野望を隠さない。08年から本格展開する日本向け検索サービスはその一歩。「日本語に最適な検索エンジンはまだ存在しない」と攻略の機会を伺う。