法科大学院14校にイエローカード


法科大学院のあり方について議論している中央教育審議会文部科学相の諮問機関)法科大学院特別委員会が、全74校のうち、14校について、教育内容や学生の質の確保などで問題があり、大幅な改善が必要な「重点校」とする調査結果をまとめたことが分かった。その他の12校も、継続的に改善の努力が必要な「継続校」とした。

 文科省は、名指しされた大学院に対し、強く改善を求めるとともに、今後、その達成度によって補助金に差をつけるなどし、大学院の再編・統合を促していく方針だ。

 調査結果は22日の特別委で報告される。調査は特別委の委員による作業グループが昨春から開始。74校のうち、入試や成績評価など学生の質の確保で課題がある40校に聞き取りを行い、さらに、うち26校には授業見学などの実地調査もした。第三者機関による認証評価も行われているが、今回の調査は、法科大学院の「通信簿」とも言える内容で、司法試験の合否状況や教育の質に絞って、「下位校」に危機感を持つよう促した。

 事実上の「イエローカード」を受けた形の「重点校」への委員の所見には「学生を自ら責任を持って教育する意識が希薄」「入学者選抜が機能していない」など厳しい言葉が並んだ。いずれも、今年度入試の倍率は2倍以下、昨年の司法試験合格率も10%程度の大学院だった。

 重点校と評価された大学院について、文科省幹部は「社会から求められる法科大学院の役割を果たしていないところが少なからずある。そういうところには決断していただくのも仕方ない」として、統合などを促す指導を強める考えを示した。

 法科大学院は、乱立による過剰な定員が質の低下を招いたと指摘されている。修了者の司法試験合格率は初年の2006年の48.3%から年々下がり、昨年は27.6%にとどまった。特別委は昨春、入試倍率が低く、司法試験の結果が低迷する大学院に定員削減や「抜本的見直し」を求める提言をまとめている。調査はその提言を受けて行われた。

【大幅な改善が必要な大学院(14校)】
静岡、香川、鹿児島、東北学院、大東文化、東海、東洋、日本、愛知学院、京都産業、大阪学院、神戸学院、姫路独協、久留米

【改善努力の継続が必要な大学院(12校)】
信州、島根、琉球、白鴎、独協、駿河台、国学院、神奈川、関東学院、桐蔭横浜、龍谷、近畿

http://www.asahi.com/edu/news/TKY201001210536.html

※追記 2010/02/05
法科大学院6校に改善要求 文科省、人数や教育内容
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201002050419.html
文部科学省は5日、大学などの運営状況を調べた2009年度の「設置計画履行状況調査」の結果を発表した。法科大学院は対象18校のうち6校に改善を求める「留意事項」がついた。東京大と京都大には「1クラスの人数が多すぎる」として適正化を、愛知学院大には「正規の授業科目ではない相談を時間割から外すこと」などの修正を求めた。北海学園東北学院駿河台の3大学には、教員の年齢構成の偏りなどの対応を求めた。
 また、教職大学院は24校のうち20校に留意事項がついた。11校が定員を満たしておらず、文科省は「入学者の確保」を課題の一つに挙げた。定員を確保できない理由として、教育委員会からの派遣者数の伸び悩みや経済的負担などが考えられるという。
 これ以外の一般の大学、短大、大学院などは調査対象になった1329件のうち、183件に留意事項がついた。147件が定員超過の指摘だった。文科省が「特に注意喚起が必要」と強調したのは、私立ハリウッド大学院大のビューティビジネス研究科。「施設や設備など設置計画を履行しているとは言い難い」「専任教員で大学以外に業務のある人が多く、全体の勤務日数の水準も少ない」として留意事項は7項目に上った。