薬学系定員充足率最下位 北陸大学理事長100万円昇給撤回

中日新聞:理事長100万円昇給撤回 北陸大、学内反発で:社会(CHUNICHI Web)
 学校法人北陸大学(金沢市太陽が丘1)の北元喜朗理事長(61)が、昨年秋に自身の役員報酬を月額ベースで100万円も増額しながら、学内の反発や文部科学省の調査を受け、5月になって元に戻していたことが、同大関係者の話で分かった。280万円台から380万円台に昇給していたという。大学側は「日中の学生交流に功績があった」と理由を説明するが、教職員などからは「お手盛りでは」と批判する声が出ている。
 北元理事長の役員報酬を増額した理由について、同大は(1)中国の学生を数多く受け入れて交流を深めてきた(2)日本私立大学団体連合会(東京都)の副会長として地方の私立大学を代表して発言している−ことを挙げた。理事会は大きな異論もなく、北元理事長の昇給を決めたとされる。
 しかし、高額な役員報酬補助金(私学助成)の削減要因となることから、昇給を知った教職員らが反発。文科省も大学側に事情を聴き「高額すぎる報酬は好ましくない」との見解を伝えた。こうしたことを踏まえ、北元理事長も報酬を元に戻すことを受け入れたという。


北陸大学は国立ではなく私立大学です。石川県金沢市
薬学部3割定員割れ〜定員充足率ワーストランキング - TK独り言にあるように、薬学部で充足率ワースト1です。
(募集人数が他の地方私大より多いというのはありますが。。)

1975年薬学部だけの単科大学として開学
1987年外国語学部、1992年法学部が開設
2004年外国語学部および法学部を改組して未来創造学部が開設
2006年に薬学部が4年制から6年制に移行
2007年度入試で全校指定校推薦選抜を導入

入試最前線’07(6) 全高校を推薦指定校に : 教育ルネサンス : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
全日制高校すべてを指定校にして推薦入試をやった大学がある。(中略)
定員の中の指定校推薦枠を、20人から、ほぼ3分の1に当たる120人にまで増やし、5200校を超える全国の高校を「指定校」にして募集要項を送った結果だった。
出願条件は〈1〉校長が責任を持って推薦〈2〉調査書の評定平均が3・0以上〈3〉専願――である。
従来、指定校推薦は、卒業生の実績を認めた大学が合格を約束する制度だ。最近は、送り出す側と受け入れる側の関係も変わりつつあるが、長い付き合いから生まれる「お得意さん」の関係を生かすことには変わりがない。
それを一挙に全校に広げようというのは、乱暴にも映る。調査書の評定が同じ数値でも、高校によって実際の学力に隔たりがあるからだ。
しかし、河島進学長(64)は自信を見せる。
「面接や調査書などで選ぶAO選抜で入った学生は、一般入試の学生より薬剤師国家試験の合格率が高かった。意欲を重視して入学させるのは推薦入試も同様で、十分にレベルを保てる」


こうした大胆な制度を取り入れた背景には、薬学部が置かれた状況の厳しさもある。

近年、資格志向の高まりで薬学部人気が続き、私立大薬学部は新設ラッシュとなっていた。ところが、修業年限が4年から6年に制度改正されると、状況が変わった。学費の負担などもあって一転、志願者は減少傾向になったのだ。
各大学は、ライバル増加と志願者減という二つの逆風への対応を迫られている。
北陸大では、6年制への変更を機に入学定員を460人から306人に縮小した。こうした中で打ち出したのが全校指定だ。推薦入試と銘打った「お得意さん」開拓のローラー作戦と見ることもできる。
しかし、もし1000校以上から応募があったら、それだけで大学全体の定員の倍になってしまう。指定しておいて受け入れ切れないとなれば、信頼を大きく損なう危険がある。
教職員が手分けして約3000校へ説明に回ったところ、大半は理解を示したが、「一方的に指定校にすると言われても、とまどうだけ」と不快感を隠さない高校もあったという。
結局、受験生殺到という事態にはならず、おおよそ事前の読み通りだった。

 増える薬学部 2003年度に2大学、04年度に8大学、05年度に6大学、6年制がスタートした06年度に5大学で薬学部が新設された。いずれも私立大学で、このうち日本薬科大と横浜薬科大、千葉科学大は大学そのものが新設。募集定員は4年間で計3375人増え、6年制だけで1万1220人になった。今春にも大学の新設が1校、学部の新設が4校あり、さらに710人上乗せされる。

誰でも入れると大学側が保証しているような制度で、これではレベルは低下しますね。
この制度は今でも(2010年度入試)実施されているようです。


またこの大学の内情は教職員組合の会報に詳しい。しかも面白い。
今回の理事長の失態も教職員組合の指摘によるもののようだ。

北陸大学教職員組合ニュース第295号
新学部構想頓挫
新学部構想が4月15日の教授会で示された。薬学部の定員の一部を未来創造学部に移し、学科再編と、新学科を創設するというものであった。
ところが、5月12日の今度は教員会で、大屋敷学長は計画延期を発表した。
教員養成課程開設に関わる手続きが「認可」であり、準備を要するという理由のようである。
手続きの見通しが立てられず、僅か1ヶ月で頓挫するとは。こ
れまた理事会の杜撰さは一級品と言わざるを得ない。


国試−反省すべきは理事会
惨敗した第95回薬剤師国試。
4月16日に、教員に対して「反省」及び改善すべき点を、A4、1枚以上で至急提出せよと、学長名で通達があった。
新学期が始まり、教員は天手古舞いの超多忙の時期に、これは授業妨害に外ならないと言いたいところだが、それはともかく、国試惨敗の責任が教員にあることを前提としていることが教員全体の憤りを買っている。
3 月末からの例の「理事面談」において、「国試の結果は教員の責任」と断ぜられたことに重ねての責任転嫁である。
「量的拡大をもって質的向上を図る」という無節操な謳い文句をもって、薬学部の定員を比類無き規模の460 人とし、実際には5百数十人を入学させたのは2004年と2005年。
今回国試を受験した卒業生は殆どこの両年の入学生である。
この定員増も、水増し入学も、教員側の判断ではない。
全て法人理事会の独断と押しつけである。
入試のハードルを低くしたのだから、教員は学生の教育に悪戦苦闘。
何とか大半を卒業させ国試に合格させたが、なおも卒業できずに残った学生のうちの150人が今回の国試受験者だったわけである。
その合格率が低かった原因は誰の目にも明らかに、拡大路線に突っ走った理事会にある。
方針を決める上で見本となる大学も存在する上に、十分なデータも持っていた筈である。
理事会の国試対策の方針が迷走したことを理由に挙げる人もいるが、それも尤も。
「『反省文』を書くべきは理事会」が教員の共通した意識である。
欺瞞的な学生集めのツケ欺罔的と評される危険を孕む学生集めに対する怒りが蓄積しつつある兆候を見せている。
バイタルサインが読める薬剤師の教育を標榜しながら、本学理事会は学生のメンタルなサインを見逃しているのではなかろうか。
前項の「量的拡大・・・」のほか、「秘伝のタレ」、「真似のできない確かな教育力」、「愛情と情熱を持って教育します」、「偏差値が低くても、個性のある、やる気のある学生を受け入れる」などのキャッチフレーズで(実に空疎だが)入学者を集めている。
「偏差値が低くても」は薬学部では「学力が足りなくても薬剤師になれる」ということになるが、結果、単位が取れずに退学する者が続出している。
2009年度では5%近くになった模様である。無理な学生集めのツケとして今後も国試合格率のさらなる低下が危惧される。
子弟の進路に悩む父母は多い。
入学さえできれば、何とかついていって卒業できるのではないかと、希望を託す親心に、恰も有効な教育システムを持っているかのような宣伝で入学を勧めるのは、薬剤師国試という厳しいハードルの存在を考えるとき、十分に自重しなければならない筈のことである。
「個性のある学生」を受け入れると言いながらも、そのピックアップに留意しているとは思えず、個性で国試合格が可能とは思えない。
これも学生を集める口実に過ぎない。
進路に迷う高校生を、6 年先までの責任を考えず、期待を持たせて誘惑するのは言語道断。
学内からも詐欺だという声が出ている。
そして父母からも、「薬剤師になれると、北陸大学は判断して入学させたのではないのか」と苦情が出ている。
奨学金の貸与を受けたものの、結局退学したために、借金のみが残ったという事態も生じている。
見方によっては、借金までさせて入学させ退学させたという構図になる。
このような学生集めに身を託し、結果、道を誤った学生達の怒りのマグマは既に危険レベルに膨張している。
理事会はこのツケをどう清算するのか。


この大学は薬学部からスタートしているが、未来創造学部というのがもう一本の柱。

http://www.hokuriku-u.ac.jp/dept_future/index.html
北陸大学未来創造学部では、幅広い分野をつなぐ人材が求められる現在のグローバル社会に適う学習内容を展開しています。ジェネラリストに必要な幅広い知識を網羅した、経営、経済、金融、法律、政治、地域研究、国際関係、医療経営、スポーツ、文化、観光、教職、英語、中国語、日本語(留学生)の15の学習領域を用意し、これらの分野から複数を学ぶことができるようになっています。

何を学ぶのだかさっぱりわかりませんが、とにかくいろんなことが学べそうです。
最近はやりの教養とかリベラルアーツとかそんなところでしょう。
この学部は入学定員200名、収容定員800名程度です。
この大学の留学生数は2009年時点で758名です。(http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/ref09_02.html)
ほとんどの留学生はこの学部に在籍しているようですから、9割近くを留学生が占めていると思われます。
孔子学院も設立されています。


その中で日本人学生が在籍していそうなのが、

スポーツエリートアカデミーサッカーI
未来のサッカー界を担う選手・指導者の育成

2007年、北陸大学未来創造学部にスポーツエリートアカデミーサッカーIを新設しました。カリキュラムには、世界中の多くの有名プレイヤーやコーチが活用し、その有効性が高く評価されている「クーバー・コーチング・メソッド」を取り入れ、クーバー・コーチングのインターナショナルディレクターであるアルフレッド・ガルスティアン氏をはじめ、著名なコーチ陣による実践的学習を通して、世界レベルのサッカー技術を培い、未来のサッカーを創造する力を備えたプレイヤー、指導者を養成します。(中略)
グローバルなスポーツであるサッカーに不可欠な英語の学習は、スポーツ活動と結び付けた授業形態で展開され、実践的なスポーツ英語がしっかりと身に付くように工夫されています。

なんだか迷走?な大学ですね。