「こんな大学で学びたい!―日本全国773校探訪記」を読んでみた

少し前に出た本ですが、機会があったので読んでみました。

こんな大学で学びたい!―日本全国773校探訪記

こんな大学で学びたい!―日本全国773校探訪記


人にはそれぞれ趣味があるものです。ですが、全大学を回るというのは、特異です。
だからこそ、仕事にもできるのでしょう。趣味と実益を兼ねているなんて、うらやましいですね。

p25 大学見学のポイント
「自分がその大学の学生になったつもりでキャンパスを歩く」ことだ。
すると、いろいろなものが目に入ってくる。
大学生が、高校生やデスクワークの社会人と決定的に違うことは、学校に自分の机がないことだ。(略)
そこで、私が重視しているのは(図書館や学食とは別に)「ダベる」場所だ。(略)

文系の四年生に「理系では四年生になるとゼミごとの部屋をもらえるんだよ」と話すと、これまた驚く。そしてみんな「理系は学費が高いけどコストパフォーマンスがいい」とか、「理系が就職がいいのがわかった」という。(略)

千葉工業大学の社会システム科学部、東京都市大学環境情報学部、東京工科大学のメディア学部、東京農業大学の国際食料情報学部のように、ゼミごとの学生研究室や理工系並みの研究設備があり、文系入試で入学しても理科系教員から学べる大学がある一方で、専修大学のネットワーク情報学部、明治大学の情報コミュニケーション学部、青山学院大学の社会情報学部、同志社大学の文化情報学部のように、文理融合系、学際系、情報系を名乗りながら一切学生研究室のない、実態は単なる文系学部もある。SFCも設備ではこれに近い。

この辺の違いは、やはり実際に見てみるほかない。
それでも受験生は偏差値の高い大学を選ぶかもしれない。しかし、自分で実際に見たり、聞いたりしてみれば、あきらかに研究・教育の水準が違うことがわかるだろう。

P166 愛知県の大学事情
愛知県は人口が多いだろうと思いがちだが、前述したように国公立志向がとても強いうえに、中堅私大もせめて地域で知られたブランド大学に行かないと格好がつかないと親も子も考えるので、新設私大にはこれからさらに苦しい時代がやってくることが確実である。

P176 大阪の大学事情
大阪は人口の多い割に苦戦している中小規模の大学が多く、学部規模の募集停止はすでに起きており、淘汰される大学がいつ現れても不思議ではない。
(兵庫県も状況は似通っている)

P216 就職大学として開き直っていいんじゃないか
これだけ大学が大衆化したのに、どんなに偏差値が低い大学だろうが、教員の多くは東大や早慶の大学院を出ているため、授業内容はアカデミズムに固執する傾向がある。しかし、学生たちはほとんどが四年で卒業して社会に出て行くのだ。
この現実を大学側が受けとめて、少なくとも大学院に行く学生の少ない大学は、キャリアセンターだけに就職を押しつけず、教員も学生がどうやったら就職できるかを考えて教育に携わるべきではないだろうか。(略)
多くの学生にとって、大学進学はもはや就職するためであることは疑いようもない。


ここにある大学評は、著者個人の主観で記載されています。(作中にも記載あり)
主観なのでそこで出会った人の話やキャンパスの印象で判断しています。
だから、面白い。
偏差値という世界では評価は低いが、埋もれてしまっている大学を探し出すのが著者の真骨頂。
頑張っている大学が偏差値以外で再評価される契機になったらすごいですね。
なかなかそうはいきませんが。。