地方小規模大学の生き残り策事例:松本大学「地方紙をうまく活用する」

先日紹介した
「こんな大学で学びたい!―日本全国773校探訪記」を読んでみた - TK独り言の著者の方のブログ、
世界の大学めぐりのホームページ面白いです。


その中で松本大学のところ興味深い部分があったので記載します。

5/6 地域連携私大1位の松本大学を見に行く : 世界の大学めぐり
長野県松本市松本大学に行ってきました。2002年新設の2学部4学科約2000人の小さな地方私大ですが、『日経グローカル』の「大学の地域貢献度ランキング」で私大1位になった、小さくてもキラリと光る大学です。1953年設立の松商短期大学が発祥で、現在も短大を併設しています。

松本大学では、入試広報室の田中雅俊氏のご紹介で、住吉広行副学長からお話を伺いました。松本大学の全教員は、毎年のアニュアルレポートで、自分がどのような地域貢献活動をしているかを報告します。教員は、地域に出て行って、コネクションを作り、学生を地域活動に参加させることが求められます。

「知識偏重から本物に触れる教育へ変えた」と住吉副学長は語ります。座学で経済学の話をしても、学生は関心を持ちません。そこで、地域の農業団体に行って、具体的な課題を聞きます。さらに、その解決策を学生が考えます。こうした動きを、地元のマスコミに頻繁に取り上げてもらいます。

松本には、6〜7万部の部数を誇る『市民タイムス』という地方紙があり、地元では高い知名度を誇ります。また、信濃毎日新聞の松本地域限定のミニ新聞もあり、こうした地元紙の記者が普段から大学に入り浸って、ニュースを掲載してくれる関係を築いています。地元紙はネタに飢えているとのこと。

教員ががんばって地域にコネクションを作る、地域に学生を受け入れる教育力がある、マスコミが客観的に評価し、報道することで学生や地域に自信を持たせる、この3本柱が地域貢献には重要だと住吉副学長は言います。松本という、教育熱心で、まだ地域の絆がある場所だからできることだとも。

長野県は都市部の有名大学の草刈り場で、高校を出て進学する若者のうち、長野県に残るのは15%ほど。地域にとって若者の流出は大きな損失です。松本大学はこれを食い止めるために2002年に新設されたのですが、偏差値は低く、高校教員としては実績を出すために有名大学を生徒に勧めてしまう。

「そこをなんとか」と高校訪問でPRしまくり、最近はじわじわと地元の進学校からも生徒が来てくれるようになりました。卒業生が出始めて、やっと評判が上がってきたとのこと。地元比率は8割で、県外からは2割ですが、「地方私大はこれぐらいの比率だろう。地元を大切にしないと」(住吉副学長)
(中略)

地方私大の多くは定員割れで苦しんでいますが、松本大学は定員割れしておらず、志願倍率も1・3〜1・4をなんとか確保しています。都市部のマンモス大学ならこの志願倍率を笑い飛ばすでしょうか、低迷する地方私大は志願倍率が1を切る大学も多いのですから、松本大学は順調に集めている方です。
(中略)

松本大学の使命は、地元での人材育成です。優秀な学生が東京に出て行ってしまって、帰ってきて地元の市役所に就職するというパターンばかりの地方公務員も、これからはウチから出したいと意気込んでいます。これはなかなか実現は難しいでしょうが、決してかなわぬ夢というわけでもないでしょう。
本人たち、あるいは大学業界のごく狭い世界においては、充実した地域貢献活動が高い評価を得ている松本大学だが、まだまだこうした実態が全国に知られているとはいいがたい、失礼な言い方だが、都会の予備校やマスコミから見たら、単なる低偏差値の弱小地方私大である。だが、実際に見に行けば変わる。

人と人をつなぎ、ネットワーク化することで、社会の諸問題を解決する。賢明な有識者の多くが気が付いている。しかし、本当に大切なのは、一人ひとりが、当事者は自分だと気が付き、しかも具体的に行動することだ。あなたが人のネットワークの核になり、自分でその輪を回すのだ。


地域密着は大切なキーワードですね。
でもいいことやってるんだぞーの自己満足だけではなく、外にアピールしていくことが大切です。