これからはBRICsじゃなくBRIMC(ブリンク)

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=ATGM01037%2001022010&g=G1&d=20100202
来日中のメキシコのカルデロン大統領は都内で日本経済新聞と会見し、2009年にマイナス7%程度まで下落した国内総生産(GDP)成長率が「今年は少なくともプラス4%になる」と語り、急速な景気回復に自信を示した。メキシコが「新興国BRICsと同等か、それ以上の競争力を持つ」としてメキシコの「M」を加えた「BRIMC(ブリンク)」という概念も提唱した。
 昨年のメキシコ経済は、輸出全体の約8割を占める米国向けの落ち込みや新型インフルエンザ流行の打撃を受けた。今年は自動車産業を中心とした製造業や、ホテルやレストランなどサービス産業が回復基調にあり、プラス成長への復帰が可能という。メキシコは中南米で「欧州、アジア、米国の東・西海岸と直接貿易できる唯一の国で、国民の平均年齢も27歳と若い」と強調、有力新興国の一角に食い込むことに自信を示した。

                                                                                            • -

BRICsという言葉自体、ゴールドマン・サックスの投資家向けのレポート(20代の女性元社員、ルーパ・プルショサーマン (Roopa Purushothaman)が2003年10月に書いた「BRICsとともに見る2050年への道」(Dreaming with BRICs: The Path to 2050))からきた言葉で、投資を誘導する恣意的なもので、元々意味は無い。が現在では経済新興国として強烈な力を持つ言葉でもある。

特にインド、中国の成長は著しい。
2010/02/07 日経新聞より
中国の公共投資のスピードは「他国がまねできない速さだ」09年12月26日。湖北省武漢市と広東省広州市を結ぶ高速鉄道が開業した。営業速度は時速300キロで世界最速級。全長は1069キロと日本の新幹線の東京―新大阪の2倍の距離だが、工事期間は4年。建設予定地の住宅を撤去し、各区間をほぼ一直線で結んだ。
国家が資金と人材を集め、目標を定めて一気に投資する。インフラ投資は瞬く間に実行に移され、短期間で景気刺激効果が表れる。企業活動も政府系企業や国有企業に集約が進む。むだな競争を最小限に抑えて利益をため込ませ、巨額投資を促す。
中国、インドともに強みと弱みは表裏一体だ。
政治主導の中国は民間の経営者が独創性を発揮しにくく、斬新な技術の開発は遅れたまま。中国企業による海外技術やデザインの模倣が批判を受けている。
政府介入が弱いインドの発展モデルは社会の動向に経済が振り回されてしまう。タタ自動車は08年西ベンガル州にナノの工場を建設しようとしたが農民らの反対にあい用地の見直しを余儀なくされた。
中印の政治経済体制を占う上で見逃せないのが、人口動態の変化だ。産児制限で中国の出生率が下がり、30年代にはインドの人口が中国を上回る。中国では15歳から64歳の生産年齢人口が多い、「人口ボーナス」と呼ばれる時期が終わり15年前後には労働人口が減少に向かう。人口ボーナス期は廉価な労働力が豊富にあり労働集約型の産業が花開く。この時期は工場が安定して操業できればよく、政治体制は独裁型が適しているともいえる。だが、労働力が減れば生産性の高いハイテクやサービスに産業が移行しなければならない。人材が集まり創造性を発揮するには社会の自由が前提となる。中国もこの段階に入れば開発独裁型の成長は難しくなるだろう。

BRICsのうちロシアは人口減少が叫ばれ、資源に依存している経済であるため成長に陰りも指摘されている。

                                                                                            • -

NEXT11(ネクストイレブン、Next Eleven、略称:N-11)
ゴールドマン・サックス証券が、2007年の経済予測レポートの中で、BRICsに次ぐ急成長が期待されるとした11の新興経済発展国家群。具体的にはイラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、パキスタンバングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコが挙げられた。

VISTAヴィスタ
BRICs経済研究所エコノミスト門倉貴史が、BRICsに続くグループとして2006年11月に提唱した造語。
V ベトナム、I インドネシア、S 南アフリカ共和国、T トルコ、A アルゼンチン