英国は「欧州」の一員か?日本は「アジア」の一員か?

日本経済新聞 3月20日 地球回覧
日本では欧州を代表する国の一つとして見られている英国。だが、欧州大陸との距離は近いようで遠い。ギリシャの財政危機をめぐる欧州の混乱も、この英国の特異性を抜きには語れない。

欧州連合(EU)はあなたの国に利益をもたらしていますか」。加盟27カ国を対象としたEUの世論調査。英国民でイエスと答えたのは回答者の36%と加盟国中最低。ハンガリーラトビアなど旧共産圏の国も下回る。

ユーロ・スケプティシズム(欧州懐疑主義)。欧州統合は英国のためにならないという考え方は根強い。EUの前身で1958年に発足した欧州経済共同体(ECC)への加盟問題から広がり、99年の通貨統合に加わらなかったのもこの流れだ。英国はEUの一員だが、欧州大陸とは微妙な距離がある。

大陸側でもドイツやフランスでは公然と「英国は欧州ではない」といった声が聞こえる。米国とは「特別な関係」にある英国は、社会民主主義志向の強い大陸とは肌合いが違う。

「欧州なのに欧州ではない」という英国の微妙な立場は「日本はアジアの一員か」という問いかけに通じるところもある。英国と大陸欧州の関係が今回の危機(ギリシャ危機)を経てどのように変わるか、あるいは変わらないのか。目が離せない。