アメリカの大学スポーツビジネス

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プロより儲かる大学スポーツ(上)「カネのなる木」を生む魔術より

今月7日にカリフォルニア州パサデナにて、大学フットボールの全米チャンピオンを決定する「BCSナショナル・チャンピオンシップ・ゲーム」が開催されました。アラバマ大学テキサス大学という、レギュラーシーズンを全勝したチーム同士の対戦となり、約9万3000名の大観客が詰めかけました。テレビ中継では約2850万人の視聴者をくぎ付けにして、1試合の視聴者数では松井選手が活躍した昨年のワールドシリーズを上回りました。

テキサス大学フットボール部の収入は約7300万ドル(約66億円)となっています。これは、経営規模で言えばJリーグで断トツの営業収入約71億円(2008年度)を誇る浦和レッズに匹敵します。 また、驚くべきはフットボール部が稼ぎ出す利益で、例えば前述のテキサス大は4620万ドル(約42億円)の利益をたたき出しています。浦和レッズの営業利益は3400万円(2008年度)。

もっとも、大学スポーツの場合は、収入としてプロスポーツと同様のチケット収入やスポンサーシップ収入、テレビ放映権収入、グッズ収入のほかに、OB/OGからの多額の寄付金がある上、支出としてプロスポーツで収入の5〜6割を占める選手への年俸を支払う必要がない点などを、大学スポーツの高収益体質の要因として指摘しておかなければなりませんが。

なぜ大学スポーツにあってフットボールだけが突出した収入を上げることができるのでしょうか?フットボールが大学スポーツの花形的存在であり続けている背景には、こうした社会的要因のほかにスポーツ産業としてのプロ・アマ間の構造的要因も指摘しておかなければなりません。

大学スポーツではフットボールと並んでバスケットボールも大変な人気を博しているのですが、この2つの競技に共通するのは、トッププロリーグであるNFLと米プロバスケットボール協会(NBA)に実質的なマイナー組織がないためです。つまり、大学運動部がプロスポーツの人材育成機関として機能し、プロリーグに優秀な人材を供給する役割を果たしているのです。これとは逆に、MLBにも米プロアイスホッケーリーグ(NHL)にも大規模なマイナーリーグが存在し、優秀な選手は高校卒業後にドラフトでプロに入っています。

 そのため、フットボールやバスケットボールでは優秀な人材が大学に残るため、ハイレベルな戦いが繰り広げられるのです。しかも、バスケットボール界には「アーリー・エントリー」(早期入団)と呼ばれる制度があり、大学で1年プレーして19歳になればドラフトで指名を受けることができる一方、フットボール界では大学で3年間プレーしないとドラフトで指名できないルールになっているので、他の運動部と比較するとフットボール部に優秀な人材が多く残る仕組みになっています。

NFLと大学フットボール両者は「同じ競技だが別のスポーツである」と形容した方がいいほどうまく差別化されており、むしろ相乗効果が働いています。これは、日本のプロ野球高校野球をイメージして頂くとピンと来るかもしれません。純粋に高度なフットボールを観戦したいというのなら、NFLに軍配が上がります。しかし、大学フットボールにはNFLほど完成されていないからこそ生まれるドラマ性が内包されています。野球で例えれば、「9回裏2アウトランナーなしから5点差をひっくり返す」ようなドラマは、NFLではまず起こりません。また、どんなスター選手でも4年でチームを後にしなければならないという大学スポーツの環境は、チームの新陳代謝を自動的に促し、ファンに毎年新鮮な息吹を届けてくれるのです。

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プロより儲かる大学スポーツ(下)稼ぎまくるアメフト部

税制を上手く活用することで、「どうせ税金でもっていかれるのなら、母校に寄付した方がマシだ」という心理をうまく突いているのです。母校への寄付で有名なナイキ創設者のフィル・ナイト氏は、総額3億ドル(約270億円)ものカネを母校のオレゴン大学に寄付していると言われています。
ナイト氏は別格だとしても、通常、どの大学でも寄付金は100ドル程度から受け付けており、募集対象も数万人規模と広範に及びます。まさに、草の根から寄付金を集めるわけです。大学側も、あの手この手を使って寄付金集めに奔走します。
卒業生に定期的に郵送するニュースレターで寄付を呼び掛けるのはもちろんのこと、大学の公式ホームページではクレジットカードを使って簡単に寄付できるようにしています。また、運動部の試合のチケット販売では、同時に寄付金を払った人には優待席を割り当てる大学も多く見られます。

集金力を最大化させるため、米国の大学は効果的なブランド戦略にも取り組んでいます。
そのため、運動部のユニフォームの色やチーム名を統一しています。例えば、前述のアラバマ大学であれば、運動部のユニフォームの色は深紅と白(ホームゲームが深紅、アウェイが白)、チーム名は「クリムゾンタイド」と決まっています。アメフト部だけでなく、バスケットボール部から野球部まで、どんな運動部でもこの規則に従います。
こうしたブランディングは、日本の大学ではあまり見られません。一方、米国の大学では、全運動部を統一したブランドで管理するのが当然のこととなっています。

最大の理由は、学生や卒業生の同窓意識を喚起しやすいからです。統一されたブランドを中心に同窓意識が醸成されるからこそ、運動部の花形であるアメフト部の試合でも、アメフトに関わっていない大学関係者や卒業生をも巻き込んで寄付金活動が展開できるわけです。各運動部が、違うカラーとデザインの下で、それぞれがグッズを作っていたら、なかなか収益力は上がりません。しかし、大学主導でスクールカラーやニックネームを定めているため、スポーツと関係ない一般の学生にも当事者意識が生まれます。そのため、スポーツグッズだけでなく、文房具や日用品なども一般学生や地元住民、観光客に買ってもらえます。もし運動部主導で決められていたら、そのスポーツにのめりこんでいる一部の人にしか売れないでしょう。

 このように、米国の大学は、運動部のブランドを統一管理することで同窓意識を高め、効率よくビジネスを展開しています。こうして米国の大学でアメフト部が中心になってかき集めた事業収入や寄付金は、コーチの年俸や施設建設費、また他の運動部の運営費までまかないます。

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日本では箱根駅伝ぐらいしか大学スポーツはメジャーになってない。
昔は六大学野球が花形だったらしいが。

アメリカだから敏腕プロモーターがいるんだろう。
しかしこの文章だと卒業生からの寄付金集めのため興隆したって論調だが、TV放映されるほど人気のすそ野が広いことに驚くし、どのような仕組みなのだろう?自分の卒業した大学でもないのに応援するっていう人がたくさんいるってこと?そんな意識じゃないのか。高校野球では地元の学校応援するし。
ということは日本でもカレッジスポーツが盛り上がる可能性はある。なんせ今や50%の高校生が大学進学する時代だし。

ラグビーあたりは可能性を感じるが。プロが盛り上がってないし。