危ない大学・消える大学 2011候補校を見てみよう<第一工業大学と都築学園グループ編>
危ない大学・消える大学 2011 ランキングの日記にて
【N】危ない大学・消える大学の候補校に挙げられた第一工業大学の状況を確認してみよう。
第一工業大学
鹿児島県霧島市。1968年に設置。
都築学園グループの学校法人都築教育学園。
1985年までは九州学院大学の名称だったが、学校法人が破産し、都築教育学園傘下となる。
この都築学園は、あまり良い印象が無い。
- グループが同族経営。(サントリー、寿不動産、非上場同族企業 - TK独り言)
- 情報公開姿勢がなってない(大学の情報非公開ランキング - TK独り言)
- 情報公開したくないから補助金の申請しない(09年私学助成金 下位ランキングと申請すらしない疑惑の大学 - TK独り言)
- グループ総帥だった都築 泰壽(つづき やすひさ)氏が強制わいせつで逮捕。
情報が非公開のためほとんど入手できませんでした。
財務情報は少し載っていますが詳細は分からずです。
相当財務状況は悪そうです。
平成20年度消費収支計算書をみると、
収入計26.6億(うち22.6億学生納付金)に対し、支出計59.5億!
この支出のうち24.7憶が徴収不能引当金!!
これはどこかに貸し付けているようだとしか、他の公開資料を見ても分からない。
つまり公表していないということだ。
自らのホームページは公開していないが、以下に記載がある。
http://www.jihee.or.jp/kikanbetsu/kikanbetsu_kekka20.htmlでは、第一工業大学は評価保留となっている。
保留はこの財務の不透明さが理由である。
他の学校法人に対する長期貸付金の徴収不能引当金繰入額を会計方針の変更で繰り入れているが、補正予算時にも計上されておらず、寄附行為に定める「予算外の重要なる義務の負担又は権利の放棄」に該当し、あらかじめ評議員会の意見を聞くことが求められる。したがって、管理運営が適切に機能しているとは評価できない。
http://www.jihee.or.jp/kikanbetsu/2009/22daiichikogyo.pdf?&mode=list&Web_page_id=123000004&Budget_category_id=283
財務状況については、法人全体で帰属収入から消費支出を控除した金額が、平成15(2003)年度から19(2007)年度まで5 年間連続してマイナスとなっており、消費収支バランスは均衡を欠いている。また、平成19(2007)年度においては、他の学校法人への長期貸付金の徴収不能引当金繰入額などにより大幅に均衡を欠いている。会計処理については、決算承認後に予算外の退職給与引当金取崩額の繰入及び退職金並びに退職給与引当金繰入額の金額・部門別内訳表の変更が行われており、適切な会計処理とはいえない。したがって、財務状況が適切に運営されているとは評価できない。
他の学校法人への貸付というのは、グループないだろうとは推測されるが、これまた資料が公開されていないのでわからない。
通常、自己評価を経た大学は、評価報告書をホームページ等で公表するが、ここは全くしていない。
日本高等教育評価機構のページにリンクがあるのだが、クリックすると、ページ自体が削除されている。
この財務の不透明さが消える大学候補となった理由だろう。
しかしこの大学というか学園のすごいところは、ひるまず前進なところ。
次の作戦は、以下の通り。
- 中国人を中心とした外国人
- 東京など都心
- 専門学校を転用
大学をビジネスと捉えればなかなか的確な戦略だ。
第一工業大学上野キャンパス
グループの東京デジタルテクニカル専門学校(東京上野)を潰して、この4月からキャンパスを新設。
目当ては外国人留学生。
特別入試:日本留学試験(日本語科目)の成績または、日本語能力試験、日本語NAT−TESTの成績、面接、書類審査
一般入試:日本語試験(筆記)、面接、書類審査
日本人の入学は想定していないのだろうか?
申請書には以下のような記載がある。
特に上野エリアには、東京大学(本郷)や東京芸術大学(上野公園)等の最高峰の教育機関、東京国立博物館、国立科学博物館や東京都美術館等の文化教養施設が集中しており、文教地区として日本でも数少ないエリアである。さらに上野に隣接する秋葉原エリアは、コンピューターやデジタルコンテンツ等の集積地として国際的にも名が知られている。
http://www.dsecchi.mext.go.jp/d_syutei09t/daiichikogyo_syutei09t.html
このような文化と情報技術が集約し交差する有数の地に本学が上野キャンパスを開設することは、日本はもとよりアジア諸国の学生に日本の工業技術・ICT技術(情報産業)を学問的、また、体験的に学ぶ多くの機会を提供できるものと確信している。
また、学園グループは、現在、東京都内に多くの専門学校を設置しているが、多数の留学生が入学しており約半数の学生が情報通信技術系の4 年生大学への進学を希望している。専門学校としては、これらのニーズに応えたいとして、本学が上野にキャンパスを設置することを切望している。
大変失礼ではあるが、留学生にとって出稼ぎにはもってこいの場所であることは間違いない。
運動場等は当然確保できず、グループの横浜薬科大学のものを借りる。(電車等で1時間以上離れている)
グループの他大学でも動きは同様のようだ。
福岡経済大学から校名変更した日本経済大学(福岡県筑紫野市)。
http://www.fukuoka-ue.ac.jp/jue/
グループの東京情報ビジネス専門学校(東京渋谷)を潰して、この4月からキャンパスを新設。
もちろん目当ては外国人留学生。
同様に申請書を見てみよう。
今日の経済がグローバル化した時代において、アジア諸国の若者の関心は世界経済の中心の一つである日本経済へと集中しており、経済活動の基盤となる日本型企業経営論、経営戦略論、組織論、そして企業の環境や地域への社会的責任等を習得すべく経営学科への志願者は今後さらに増えていくことが推測されます。
http://www.dsecchi.mext.go.jp/d_syutei09t/nihonkeizai_syutei09t.html
また昨年7月おりしも、2020年を目標に、文部科学省並びに関係省庁より策定された「留学生30万人計画」が発表され、今後留学生の受入れはますます本格的になるものと思料されます。この様な背景の中、本学では現在既に世界9カ国から留学生を受け入れており、今後も受入れ体制を更に万全なものへと確立していく所存です。また、現在東京都を中心として、学園グループの専門学校に入学してくる留学生の半数以上が経済系の4年制大学への進学を希望しており、専門学校としてもそのニーズに応えて大学の渋谷キャンパス設置を切望いたしております。
特に首都圏に位置する渋谷は、多数の大手企業並びにベンチャー企業や若者文化が集積しており日本経済にとって非常に重要な地であるため、この有数の地に本学渋谷キャンパス開設を致しますことは、日本は元よりアジア諸国の学生が日本経済や文化を学問的、又、体験的に学ぶに最適な立地であると確信いたしております。
ここも渋谷駅からすぐだ。
大きな地図で見る
外国人に人気出るでしょうね。
ちなみに、英語名は「JAPAN UNIVERSITY OF ECONOMICS」
同様に、神戸三宮キャンパスもこの4月に開設したようです。
http://www.fukuoka-ue.ac.jp/kobe/index.php
加えて、近畿医療福祉大学も大阪天王寺にキャンパスを作ったようです。
http://www.kinwu.ac.jp/oosakacam/index.html
もともとは、姫路キャンパスといってますが、姫路市ではなく山の中です。
そこがこれまた同様に、大阪デジタルテクノ専門学校を潰して、大阪天王寺キャンパス設置。
申請書をみるとこれまた同様な内容が。
国際的な経済・社会のグローバル化を反映し、昨年7 月に政府より発表された「留学生30 万人受け入れ計画」骨子と相俟って、グローバルな視点からウエルフェアビジネス戦略を展開していくことの可能な国際人を育成することが急務と判断し、定員を150 人として大阪市四天王寺区の大阪校キャンパスでも、留学生を含めて幅広く学生を確保していく所存である。
http://www.dsecchi.mext.go.jp/d_syutei09t/kinkiiryo_syutei09t.html
大阪キャンパスはこうした中心地区から20 分圏内に位置し、周辺には大企業を始め、歴史ある地場産業を支える様々な中小企業が地域に活力を与えており、日本はもとよりアジア諸外国の学生が福祉とともに日本経済を学問的に、また体験的に学には最適の立地であると確信している。
因みに平成20 年5 月の時点で、全国約12.3 万人の留学生の中、近畿地区が約18%を占め、その9 割が大阪、京都、兵庫の3 府県に集中している。
このように都市性、国際性という地の利を活かし、法人グループのノウハウを集積すれば、18 歳人口の減少や福祉離れの減少が社会を覆い尽しているが、既存の学科の創意工夫で十分活路を見出せるのではないかと思量する。
これだけでもすごいのにまだ続きます。
来年度、日本本薬科大学(埼玉県伊奈町)が御茶ノ水キャンパスを設置予定とのこと。
おそらく2011年の入試要項発表時に正式リリースとなるのでしょうが、これまでの流れを考えれば、系列のお茶の水はりきゅう専門学校を潰してとなるのでしょう。同様に留学生をターゲットとするのでしょう。
申請書の文言が目に浮かびます。
「お茶の水は日本でも有数の文教都市であり、また大学街としても名高い・・・・」ってね。
しかしこのスピード感はすごいです。
都築学園グループの統一感。
これは同族経営で総帥の力が相当強くないとかなかできません。
大学は教授会やら全会一致やらでなかなか物事が決まらないのが一般的です。
以前にも書いたことはありますが、これを教育をビジネスで食い物にしていると言って批判するのは簡単です。
私ならこの学園には絶対に入学しませんが、ニーズをつくり出し、また確実にキャッチアップすることは決して悪いことではありません。
結局ここに行く人がいるわけですから。
何もせず、消滅していく大学よりはマシだと私は思います。
ですが、決してこちらの学園をお勧めしているわけではありません。
さて、この学園の今後の展開を考えてみましょう。
- 中国人を中心とした外国人
- 東京など都心
- 専門学校を転用
この戦略を推し進めるでしょうね。
- 外国人が多い東京新大久保にある東京マルチメディア専門学校が横浜薬科大学もしくは第一薬科大学の東京新宿キャンパス
- 福岡の中心地天神、パルコの隣の福岡天神医療リハビリ専門学校が福岡医療福祉大学の福岡天神キャンパス
なんて考えれるのではないでしょうか。あくまで想像ですが。