iPadが青森、秋田、鳥取、島根、山口、佐賀の6県では販売できない事情とアップルの戦略

2010年5月27日 日本経済新聞 「iPad 上陸の波紋(上)」

県名 取扱店
青森、秋田、鳥取、島根、山口、佐賀  0店 
岩手、山形、福島、富山、福井、岐阜、三重、奈良、和歌山、滋賀、徳島、高知、長崎、大分、宮崎  1店 
栃木、山梨、石川、京都、香川、愛媛、熊本、鹿児島、沖縄  2店 
  • 28日iPadを発売する
  • iPad発売を機に、アップルは小売りの現場を「管理」する姿勢を強める。象徴的なのは販売店の絞り込み。家電量販上位5社の直営店合計約1400点のうち、取扱店は一割弱の136店にすぎない。
  • 「売れる店に絞ってブランドイメージを高める狙い」
  • iPadの取扱店は都内には41店あるが青森など6県ではゼロ。アップルは「我々のインターネット通販で購入できる」と説明する。だが、無線LANだけでなく、携帯電話回線も使える機種は店舗でしか買えないため、遠方に足を伸ばさなければならない消費者も出てくる。
  • 売る店を決めるのは誰か。iPad発売で日本での存在感を高めるアップルは、日本の家電流通に問いを突き付けている。

昨今、家電はヤマダ電機をはじめとする小売りが力を握っている。
メーカーの立場は厳しい。
それは各々の製品にメーカー間の差異がほとんど無くなってしまったからだ。
その流通に一石投じようとしているアップル。
アップルの製品は確かに独自性がある。
本来的にメーカーはもっと力を持って良い。


ただ、アップルが力を持ちすぎるのも怖い。彼らは囲い込みが上手だ。
日本のお家芸である家電でアメリカに市場を席捲されるのは長期的には問題だ。

iPhone/iPad新OSでまたひと儲け | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

  • 注目すべきは、アップルが自社の携帯電話のOSをパソコンのOSのようにしようとしていること。ただし、パソコンと違ってiPhoneのOSでは、好きなアプリケーションをダウンロードして使うことができず、すべてアップルから購入しなければならない。
  • 言い換えれば、アップルが開発しているのは、自分たちが完全にコントロールすることのできる新種のパソコンだ。そして人々は、まんまとアップルのやり方に引っかかっている。ハードウエアがあまりに格好いいからだ。
  • アップルはこの日、新しい広告プラットフォーム「iAd」も発表した。iPhoneとiPad上で使われるアプリケーションに広告を組み込み、その広告収入の60%がアプリ開発者に、40%がアップルの懐に入る仕組みだ。アップルは広告の販売・提供・配信をすべて手掛けるという。
  • つまりアップルは、自分たちが完全にコントロールできる「塀で囲んだ庭」をつくるだけでは飽き足らず、その庭の中で提供されるすべての広告をも管理しようとしている。スティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)は、自分以外の誰かが許可なしにアップル製品で一銭でも儲けることを許さない、というポリシーを貫いている。


  • アップルがフラッシュを嫌う理由はもう1つある。フラッシュを使えば、開発者がブラウザ内で作動するゲームやその他のアプリケーションを作り、アップルストアを迂回してユーザーにコンテンツを直接販売する可能性がある。そうなればアップルは、ユーザーのアプリケーション購入費の30%、広告収入の40%を手にするチャンスを失うことになる。
  • お分かりだろう。アップルにとっては物事をシンプルにしておくことが大事なのだ。すべてを管理し、儲けはすべて自分の懐に─これ以上のシンプルはない。